第1話「説明会」
薄い拍手、薄い笑顔。会場の熱だけが本物だった。柏木は“誰が安心しているか”を見た。
公開
「確実」「限定」「内々」——信じた瞬間、金は姿を変える。糸口は“動かない法人”。
都内の小さな会場で開かれた“高利回り”の説明会。 被害者は、騙されたとすら気づいていない。柏木聡美が拾うのは、口座でも名刺でもない——言葉の「矛盾」だ。
本作はフィクションです。作中の手口・会話は創作上の表現であり、犯罪を助長する目的はありません。 具体的な実行手順の解説ではなく、捜査・心理・構造の描写に主眼があります。
薄い拍手、薄い笑顔。会場の熱だけが本物だった。柏木は“誰が安心しているか”を見た。
法人登記は存在する。しかし“動いていない”。動いていないのに、金だけが動いている。
騙すのは欲ではない。怖さだ。怖さを“安心”に加工する設計がある。
口座の名義は人を指さない。役割を指す。役割は何度でも着替えられる。
証拠は揃った。だが、逮捕は“終わり”ではない。被害者の時間は、ここから取り戻す。